20歳と38度線

K-popと政治問題だけでは語れない朝鮮半島について書いています。

韓国ドラマで学ぶ社会の息苦しさ

留学で先延ばしにしていると言っても、大学5年生の私もそろそろ就職活動を始めなければならない時期になってしまった。

自分は何に向いているのか、自分はどんなことに興味があるのか……

休学に留学、もう自分探しはこりごりだと思っていた矢先、またも自分のやりたいことはなんだと聞かれる……。

ぐるぐるぐるぐる考えて頭がパンクしたと思ったら、いつのまにかアマゾンプライムで韓国ドラマを見ていた。

www.cinemart.co.jp

『未生-ミセン-』は、大手貿易会社を舞台にサラリーマンの息苦しさを描く社会派ドラマである。
若者の就職難を背景に描かれ、学歴主義や能力主義の就職戦争を勝ち抜いた新入社員の前に、またも厳しい会社員生活が待っている。
韓国の大ヒットウェブ漫画が原作で、不条理に押しつぶされそうな会社生活を繊細に描いたドラマはサラリーマンたちの共感を呼び、とても話題になった。

主人公はプロ棋士の夢を諦めたチャン・グレという青年だった。
大企業に入るには学歴が足らない彼は、インターン生時代に厳しい上司の言葉や周りの視線に晒される。
しかし、彼は静かに耐え続ける。生きるために懸命に働く彼の姿に私は強く心を打たれた。

「社会で生きるということはこれほど辛いことなのかと」ドラマを見ながらはじめは絶句したが、
丁寧に描かれた会社員たちの姿を見ていると、私も「働くことの意義」を問われているようで背筋が伸びた。
また、懸命に働く姿がカッコ良くもあり、自分も励まされているような気持ちになった。

韓国ドラマで非恋愛モノは初めてだったが、本当に見てよかったと思う。
最後はスマホを握りしめ、大人げなくうううううと声を出して泣いてしまった。

主人公が師として仰いでいた上司が会社をやめる時、彼に残していった言葉がある。

耐えろ。

勝て。

「耐え抜いた者が勝つ」というこのメッセージは、ドラマ全体のメッセージにもなっている。
ドラマの背景には、セクハラやパワハラ問題、収賄事件や、会社内政治、若者の就職難や行き過ぎた学歴主義など、韓国の社会問題がはっきりと見て取れる。
しかし、「苦しくても耐えればいつかは勝利が訪れる」という悲しくも希望的なメッセージは、閉鎖的な雰囲気が漂う社会で生きる多くの人々の心に深く刺さったのではないだろうか。

おおっと、自己分析から逃げてドラマ分析をしてしまった。そろそろ私もパソコンを閉じて、ノートいっぱいに未完成な私を見せんとするか、な。