20歳と38度線

K-popと政治問題だけでは語れない朝鮮半島について書いています。

留学生が知って得する”ソウル大学での勉強について”

 ソウル大学に留学することになった皆さん、ソウル大学での授業はどんな感じなのか気になりますよね。昨年1年間私がソウル大学で交換留学生としてどのような勉強生活を送ったのか、そしてソウル大学で利用するべき勉強サポートプログラムをこの記事でご紹介したいと思います。新学期が始まった時に、あまりの授業のレベルの高さに驚いてパニックになってしまわないように、この記事を読んで心構えをしておくことをオススメします。

 

 ソウル大学での勉強の厳しさ

 私は、交換留学生として昨年1年間ソウル大学に通いました。日本の大学で単位交換をする留学で、現地の大学生と同じ授業を聞くプログラムでした。韓国最難関大学とあって、優秀な学生とレベルの高い授業、課題の多さなど、正直勉強面ではかなりきつかったです。私は日本で日本文学創作学科に所属しており、どれだけ自分の個性を表現できるかという授業に慣れていたので余計にそう感じたのかもしれません。ソウル大学での生活は、3年半ぶりに受験勉強クラスに放り込まれたような、なんなら東大進学コースに放り込まれたような気分でした。

授業は1コマ3時間

 ソウル大学では、1コマが3時間の授業が多いです。先生によっては90分の授業を週2回する人もいます。3時間となるとかなり長丁場で後半は集中力が切れ、ノートのメモがだんだん雑になっていきました。先生もかなり大変だと思うのですが、ある先生は「1週間に2回も学校にくるのはめんどくさいから3時間の授業をする」と言っていました。

 

レポートも試験もある

 日本の大学では、テストかレポートどちらか1つが評価方法になっていて期末や中間は1つさえこなせばいいという授業がほとんどでした。しかし、ソウル大学では基本的に、テストとレポート2つとも行い、どちらも評価の対象になるので覚悟しておいてください。テスト期間は泣きながら勉強する羽目になります。

レベルが高すぎる教養科目

 日本の大学で教養科目というと1年生でも取れる簡単な授業で、課題も多くないというイメージです。しかし、ソウル大学は全く違います。教養科目と言えど、基本的な知識はあることが前提なので、日本での専攻が違う私はかなり苦労しました。私がとった国際政治の授業は、毎週専門の論文を3つずつ読まなければならなかったのですが「みなさんが読みやすい論文を選びました」と言いながら専門用語のオンパレードでした。留学当初は語学力不足に専門知識不足で、先生が授業中何をいっているのかさっぱり。また、論文を読んでくる課題に加え、1ヶ月に1回はレポート提出とプレゼン、中間と期末はまた別にある……という、日本のゼミレベルのことを教養科目の授業で要求されました。

 

暗記量が半端じゃない

 ソウル大学の授業ではかなり暗記を強要されます。韓国の教育スタイルの影響もあるでしょうが、授業で知識をつけることが重要視されます。政治の授業はもちろんのこと、文学の論述のテストで、小説本文の空欄補充問題がでたときはびっくりしました。 暗記重要型に分野は関係なく、暗記が得意じゃない私はとても苦労しました。

終わらない課題、遊べないソウル大学

 ソウル大学生の課題は、そう簡単には終わりません。例としてある授業の1学期の課題の量を書き出してみました。

南北政治:論文30本を読む、レポート2400字4本、期末レポート6000字

韓国語:教科書200ページ予習、単語帳1冊暗記、韓国語に関する韓国語で書かれた本1冊読破、エッセイ2000字1本、レポート5000字1本

 課題が多い授業だとこんな感じです。留学当初、私はサークルに2つ入っていましたが、課題が多くて途中から1つのサークルに行けなくなってしましました。

 また、ソウル大学生は意識が高い人が多く、学校の勉強に加え資格の勉強をしたり、外国語の塾に通ったりする人が多いです。そのため、忙しくてなかなか個人的に遊ぼうとすると日程調整が難しいことがほとんどです。友達と遊ぶと言っても、勉強の合間を縫って校内で一緒にご飯を食べたりという具合でした。ソウル大学で友達をたくさん作って遊びたいなら、サークルに入ってサークル単位で遊ぶのが楽だと思います。

 テスト期間が近づいてくると試験勉強に忙しくてなかなか遊べなくなります。韓国の大学は日本の大学より学期期間が短い上に、ソウル大学ではかなりの勉強量を求められ、学期始めか中間と期末の間、ほんの1、2週間の間しか遊べませんでした。

 

 お酒を飲まないソウル大学

 偶然かもしれませんが、私が知り合ったソウル大学生はほとんどがお酒を飲まない人たちでした。また、学校から帰ったら平日は毎日勉強しなけれおばならないので、友達と夜ご飯を食べても誰もお酒を飲みませんでした。また、学期始まりに学科の飲み会に一度参加しましたが、二次会に参加する人がとても少なくて驚きました。韓国の酒文化体験は、ソウル大学では諦めた方がいいです。

英語は理解できる前提の授業 

 ソウル大学の授業では、英語資料が当然のように出てきます。韓国政治、韓国史、韓国文化などの授業以外はよく出てくるようです。韓国語のプログラムで留学している方は頑張ってください。 

知って得するソウル大学の授業制度 

 当初は「たくさん授業をとるぞ!」と張り切っていた私も、授業のレベルの高さと課題の量に面くらい、履修をどうすればいいかとても悩みました。私は、留学した目的が勉強以外にもあったので、思い切って授業数を2個に減らすことにしました。とても少ないと思うかもしれませんが、私の大学からソウル大学に留学した人は、留学報告書によると、ほとんど1学期に授業を2つしかとっていませんでした。日本で先輩たちの報告書を見た時に「少なすぎ」と思ったのですが、実際に留学してみると2つがちょうどいいと実感しました。留学を楽しみながらも交換留学生が韓国語で課題をこなせるラインが授業数2のようです。

 

履修申請はネットカフェで

 韓国の大学の履修申請は、ライブチケット張りの早い者勝ちの世界です。申請開始時間は回線が混み合うので、私は回線の遅い家ではなくネットカフェで申請しました。私は全て希望通りに通りましたが、家で申請していた友達は争奪戦に敗北していました。後々、履修で悩みたくなければ、ネットカフェで履修申請することをオススメします。

中間テスト前まで履修の取り消しができる

 ソウル大学は難しい授業が多いので、なんと、中間テスト直前まで履修取り消し期間になっています。「履修登録期間に悩んで結局取ることにしたけど、中間テストの勉強をしてみたら単位を落としそうだ」という時に活用する制度のようです。韓国人の友達もバンバン授業削除をしてました。ソウル大学生の"いい成績"の裏には、"落としそうな授業を削除する"というカラクリがあると言っても、嘘ではないと思います(笑)。

 

聴講生制度

 「課題まで完璧にこなす自信がないけれど、色々な授業を聞いてみたい」という人には聴講生制度をオススメします。ネットで申請して担当の先生の許可を得れば、聴講生として授業を聞くことができます。聴講生として聞く授業は成績には反映されないので、頑張るのも頑張らないのも自由です。私は、韓国古代史の授業を聴講生として取っていました。(他の授業の課題に追われ、途中から行かなくなりましたが……)

留学生は録音推進!

  授業では、録音することを強くオススメします。私は、授業中は一生懸命ノートをとり、後でで録音を聞き直して、聞き取れなかった場所をまたメモするスタイルで勉強を進めていきました。その際、再生スピードを変えられるレコーダーだとより良いと思います。聞き取りが難しい場所は、ゆっくり再生して確認ができるからです。

 スマホでも録音できますが、私はあまりオススメしません。先生の解説に出てきた概念や事件などを授業中に検索するからです。録音と検索機能は分けていた方がいいなと色々模索して感じました。スマホで録音、ノートパソコンで検索しても良さそうです。

 

ソウル大学の外国人学生サポート

 ソウル大学は、留学生に対するサポートがかなり手厚い学校だと思います。私もかなり助けられました。その中のいくつかをご紹介します。

外国人作文プログラム

 外国人作文プログラムは外国人留学生に大学院生が韓国語のレポートや論文の書き方を指導してくれるプログラムです。1対1の個人指導で自分にあった指導を受けられます。このプログラムのおかげで私の韓国語の書く力がかなり向上しました。

ctl.snu.ac.kr

チュータリング制度

 ソウル大学基礎教育院が行なっているチュータリング制度です。これは、勉強に不安を感じている後輩の勉強を成績優秀な先輩が1対1で見てくれる学習補助プログラムです。韓国語を語学として教えてもらうこともできますし、専門授業についてアドバイスをもらうこともできます。私の場合、政治学の授業をとる際に韓国政治について知識が不足していたので、政治外交学部の先輩に授業でわからなかったところを毎回解説してもらいました。

gepeertutoring.snu.ac.kr

 

 

SNU Buddy

 SNU Buddyはソウル大学の留学生が数多く所属する国際交流サークルです。大学の支援を受けていて、留学事務所からのメールで入会を勧められます。4、5人の留学生に1人の韓国人学生がついて学校生活のサポートをしてくれたり、全体で集まって遊んだりします。留学したばかりで右も左もわからないときに頼れる韓国人の学生がいるのが心強いです。

www.snubuddy.com

優しい留学事務所

 余談ですが、大学の留学事務所の対応がとても良かったです。韓国では、外国人は外国人登録証の発行が義務付けられています。その手続きが少しめんどくさいのですが、事務手数料を払えばまとめて大学の事務所がやってくれるのでとても楽でした。他にも、困ったことがあるときは相談にのってくれるのでとても頼りになりました。 

 

まとめ

 ソウル大学には、勉強をしたい人にとって最高の環境が整っていると言っても過言ではありません。留学生へのサポートも充実していて、勉強に集中できます。反対に、留学を楽しみたいと思っている人にとっては少し物足りないかもしれません。自分が留学を通して何を得たいのかきちんと考えて、留学生活を送ることをオススメします。

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